残-ZAN-  第三夜 偽りのドール 



5.手がかりと甘い罠(2)




「……どうだ? レイ」

静寂を切り裂くロイズハルトの声が鼓膜を刺激する。
ああ、どうか神よ……。
宙を彷徨う私の心に複雑な感情が生まれては消えていく。

「うーん……」

ああどうか……。

「似てるけど……同じ物とは断言出来ないね」

じっと食い入るように十字架を見ていたレイフィールだったが、小さく溜め息を吐いた後緩く首を振った。
それと同時に、私はゆっくりと目を閉じる。

「そっか……ありがと……」

一気に体中の力が抜けて、眩暈すら感じた。

「ごめんね、ちゃんと覚えてなくて……」

申し訳なさそうな顔をするレイフィールに、私は精一杯のお礼を言う事しか思い付かなかった。
謝る必要など無いのだと、笑いながら。

そのドールがエリーゼである可能性は高いけれど、エリーゼであるとは断定出来なかった。
それでも姉の行方についての手掛りを手に入れた事は私の中で大きな意味を成したであろう。
この城の主の一人でもあるルイという男に会って直接確かめれば良い。
そしていつか目の前に現れるであろうそのドールをこの目で確かめれば良い。
絶望するのも喜びに浸るのも、それからで十分だ。



その後、デューンの部屋を一足先に出た私は一人、最上部にある広いバルコニーで昇りゆく太陽を見つめていた。
この城に来てからはヴァンパイアの生活に合わせていた為、太陽の光をこの身に浴びるのは本当に久しぶりだった。
こんなに眩しくて、こんなに熱いものだったのかと改めて感じる。
人間はこの光がなければ生きてはいけない。
この光に育てられて、この光に生かされている。
けれどヴァンパイアにとって太陽はその身を滅ぼすものでしかないのだ。
いかに力のある者でも太陽の前ではただの赤子同然。
時に神に例えられるあの光の塊も、やはりヴァンパイアの存在を許しはしないのだろう。

「はあ……」

色々な事があり過ぎて心底疲れた身体が、太陽の前で弱音を吐き出した。
私は臆病で、そのクセ強がりで、覚悟したはずなのに目の前に付き付けられた現実からいつも逃げようとしている。
こんなんじゃ……例えエリーゼと再会出来たとしても、ぶん殴るなんて芸当は到底出来そうもない。
自嘲の笑みがふと漏れた。

その時、背後から何かを激しく叩く音がして、私は慌てて振り向いた。
こんなに陽が高くなっている時分に何事だろう、と警戒しながら。

「エールーッ!!」

遮光ガラスの向こうから、私の名を呼ぶ者がドンドンとガラスを叩いている。
あっと思って近付くと、そこにはロイズハルトとレイフィールが立っていた。
ロイズハルトは背中を壁に預けて俯いている。
一方のレイフィールは窓にびったり張り付いて、しきりに開け放たれたままの窓を指差していた。

「どうしたの? 二人とも」

不思議に思いながらも、明るいバルコニーから暗い回廊へと戻る。
目が慣れないせいか、二人の顔がよく見えない。

「ちょーっとエルッ!! ここ閉めてくれないと通れないじゃんッ!!」
「あ……」

朝の光が、開いた窓から回廊の壁まで隙間無く伸びていた。

「これじゃ通れないよー! ここしか道ないのにぃ!」

そうなのだ。
この回廊の先にあるのはデューンの私室のみ。
だからこの通路を太陽の光で塞がれては、ヴァンパイアである二人は灰にならない限り通れない。
うっかりしていた。

「マジごめんッ!!」

慌てて窓を閉め切ると、居城内が再び闇で閉ざされた。
それは太陽の熱ですら遮断してしまう。
温まった身体には肌寒く感じるほどに。

「ああ、良かった。今日は一日中デューンと添い寝しなきゃならないのかと思ったよ」

光が遮られたのを確認してから、レイフィールが安堵の溜め息を吐いた。

「ごめんね! 久しぶりの太陽で気分良くなってて……」
「全く……人間て不思議だよね」

そう言いながらも特に怒ったわけでもなさそうなレイフィールは、ニコニコ笑いながら遮光ガラスの遥か先にある太陽を見つめていた。
それにつられて私も、光と熱を失った太陽に目を移す。

「私達にとってはなくてはならないものなんだよ、あれは……。でも確かに不思議だよね。人間もヴァンプも姿形は同じなのに、同じ命なのに……二人はあの光で死んじゃうんだもん」

ヴァンパイアにとって太陽は裁きの炎。
利得になるものなど何もない。
あるとすれば……あの庭園の花々を美しく咲かせる事くらいだろうか。

「まあね、仕方ないよ。その引き換えに何もしなければ僕達はずっと生きていられるんだもん。一つくらい制約がないとね」

レイフィールはそう言うと、無邪気にカラカラと笑った。
それから私を見て、こう言う。

「落ち込んでるんじゃないかと思ってたんだ。ね、ロイズ」

レイフィールの問い掛けに、ずっと下を向いていたロイズハルトが顔を上げる。

「背中が丸まっていたからな」
「え……?」

微かに微笑むロイズハルトに目を奪われたまま、私は放心したように呟いた。

「ぬか喜びさせたんじゃないかと思って」

そのロイズハルトの言葉に、私はただただ首をぶんぶん振った。
どうして……?
どうしてそこまで心配してくれるの……?
私は……私は聖職者で。
貴方たちはヴァンパイアなのに……。

「そんな事ないよ……。今まで何も手掛りなかったんだもん。可能性の段階でも聞けて良かったと思ってる。……ドールかもしれないっていうのは少しショックだったけど……」

ドールとなる女は実は少なくはない。
けれどやはり血を分けた姉がドールになっていたとしたらショックだ。
だってエリーゼは私と同じ聖職者だったから。
ヴァンパイアよりはむしろ、ハンターのデストロイを支持していたから。
だから私は信じられなかった。
エリーゼがよりにもよってそのヴァンパイアに惹かれたという事実に……。

「でも大丈夫! 心の準備だって出来るし、うん!」

そう言って笑ってみせる。
するとふいにロイズハルトの瞳が私を捉えた。
レイフィールの肩越しからダークアメジストの瞳にじっと見つめられて、言葉が出ない。
やめてよ。
そんな風に見ないでよ。
落ち着かせようとしている心が……ざわめくじゃない。
そんな中、私とロイズハルトの間に挟まれたレイフィールは一人、明るく声を弾ませていた。

「でもさ、デューンには悪いけど、あの情報はガセだったって方が絶対良いよ」
「え? なんで……」

彼の笑顔と言葉の意味が分からずに、私は思わず口を開けたままポカンとしてしまった。
ガセだった方が良いという事はつまり……そのドールがエリーゼでなければ良いという事だろうか?

「どうして……そんな事?」

分からない。
分からない。
混乱する。
これ以上、私を混乱させないで。
そう思いながらも私は平静を装って、無機質な笑顔を取り繕う。

「だってさ? ルイは本当にシャレにならないくらいドール持ってるしさ、それにお気に入りなんかになったら命が……――フガッ!!」

レイフィールの言葉はそこで途切れた。
それまで黙って話を聞いていたロイズハルトが突然、レイフィールの口をその手で塞いだのだ。

「フガーーーッ!! フガーーッ!! はにふんはほほいふっ(何すんだよロイズ)!!」

不意打ちを喰らったレイフィールがロイズハルトの手の中で暴れる。
けれどロイズハルトの手はしっかりとレイフィールを押さえ込んで放さなかった。

「余計な事は言わなくていい! エルも……何でもないから気にするな」
「え? う……うん」

気にするなと言われる方が人間は気にする生き物なのだが、レイフィールの言おうとした言葉の先は、ロイズハルトによって失われてしまった。
だが、レイフィールは確かに何か“気になる事”を言おうとしていた。

――ルイのお気に入りなんかになったら……命が……?

その後は一体どうなるというのだろう。
忘れろと言われたあのセリフが、それ以降私の頭の中でグルグルと回り続けた。





「あら、おかえりなさいませ。エルフェリス様」

自室のドアをゆっくり開けると、窓辺に置かれたテーブルに腰掛けてティーカップを傾けるリーディアに声を掛けられた。

「あれ? まだ寝てないの?」
「お帰りをお待ちしておりましたの」

リーディアはそう言うと、オリーブ色の両目を細めて立ち上がった。

「先に寝てて良かったのに……」
「お話しなければならない事があったのですわ。とにかくお掛けになって?」

湯気の立ち上るティーポットから新たな紅茶が二つのカップに注がれる。
その中を私は彼女の勧めに従って、彼女の向かいの席に着いた。

「わざわざ改まって何の話?」

熱い紅茶の入ったカップに指を滑らせて、それを口元へと運ぶ。
微かに甘い果実の香りがした。
リーディアも同じ様に一口紅茶を飲むと、ふっと息を吐いた。
そしてこう切り出したのだ。

「先ほど、ロイズ様の使いだというハイブリッドの男がこの部屋を訪れましたの」

使い?
ロイズハルトの?

「さっきまでロイズとは一緒にいたよ? わざわざ何だろう?」
「実はこれを預かったのですわ」

リーディアはそう言うと、自らのスカートのポケットに手を入れて、中から一通の封筒を取り出した。
赤地に黒の文字。
三者会議の開催を知らせるあの手紙と同じ色。

「中身は確認しておりませんが……宛名の文字を見る限りではロイズ様の筆跡に間違いありません」

宛名……。
そう思って封筒を表に返して見ると、そこには確かに私の名前が表記されていた。
もしかしたら届ける相手を間違えているのかもしれないとも思ったのだが、どうやらそうではないらしい。

「……エルフェリスって書いてあるね。何だろうホントに」
「使者は大きな声では言えない内容なだけに、公言はするなと申していましたわ」
「……開けてみよう」

妙なニオイがした。
公言するな?
それはレイフィールやデューンにも言えないような事なのだろうか。
そうでないのなら、さっきあの場で何らかのアプローチがあったはずだ。
私はやや乱暴に封をちぎると、取り出した手紙を広げてさっと目を通した。
それをリーディアが心配そうな面持ちで見守っている。

「何て書いてありました?」

そして時おりそうやって手紙の内容を聞いてくる。

「……次の新月の零時に、庭園城門を出た先にある泉に来いって。リーディアも同行せよ、って書いてあるよ」
「私も?」
「うん、そう書いてある。ほら」

若干驚いた様子のリーディアに、私はロイズハルトの手紙を見せてやった。
それに素早く目を通すと、リーディアは口元に手を当てて息を呑んだ。

「本当ですわ……」

食い入るように文面を眺めたままリーディアが呟く。
それほどまでにロイズハルトに呼び出されたという事が意外なのだろうか。
それとも別に何か……?
どちらにしてもリーディアの驚き様は普通じゃない。

「その泉ってどういうトコなの?」

とりあえず私は、まずはその場所について尋ねてみる事にした。
はっきり言って、この居城以外の領域については全くわからない。
この城が地図上の何処に位置して、どのような地形の場所にあるのかすら知らないのだ。
ただ簡潔に庭園城門の先の泉、と言われても、私はきっと辿り着けない。
そんな風に思っていると、リーディアは窓のカーテンを開けて、庭園の先にある城門を指差した。

「ほら、あそこにあるのが庭園城門と呼ばれる門の一つですわ。その先に森が見えますでしょ? ロイズ様が指定された泉はその中にありますの。とても静かな場所でこの城からもさほど遠くはありません」
「じゃあ、リーディアも結構よく行くの?」
「ええ、私は割りと……。でも何故かしら……ロイズ様があのような場所を選ぶなんて」
「? もしかして……いわく付きの場所……?」

怪訝そうな顔を見せるリーディアに私は少し不安を感じて聞き返した。

「いえ、そういう訳ではないのですけれど、数年ほど前からロイズ様はあの泉にぱったりと近付かなくなったものですから……」
「え? 近いのに一回も?」
「ええ、何故か泉だけは頑なに拒まれますの。以前はよく足を運んでいらっしゃっただけに不思議で……」

だからリーディアはあんなにも驚いていたのか。
でもそんな場所に私と彼女を呼び出して、ロイズハルトは一体どうしようというのか。
私の疑念はますます深まる。

「……どう思う? リーディア」
「どうって……」

言葉が足りなすぎたのか、リーディアが首を傾げる。
それに対して私は直球の疑問を投げかけた。

「この手紙よ! これ本当にロイズが出した物かな」
「でも文字は確かにロイズ様の物ですし……まあ疑わしい所は多々ありますけれど」

長年ロイズハルトの元でロイズハルトを見てきたリーディアが考えあぐねているところを見ると、一概にロイズハルトの手紙ではないとも言い切れず、私も一緒にどうしたものかと悩んだ。
文字はロイズハルト。
けれど内容はロイズハルトとは程遠いような……。
全くもって、真意が読めない。

「次の新月っていつだっけ?」

再び手紙に目を落とすと、そのままの状態で私はリーディアに尋ねた。
するとリーディアはしばらく考えてから、確か明後日ではないか、と答える。

「明後日の晩……じゃあそれまでにロイズに会って聞いてみよう」

そう言った私にリーディアも同意を示し、頷いた。

「そうですわね! それが一番確かですわ。城の外は一歩出れば様々なヴァンパイアがうろついておりますし、エルフェリス様にとっては危険なエリアに違いありません。ご自分の身を守る為にもその様になさいませ」

リーディアの忠告に、私も元気良く頷く。
もとよりそのつもりだ。
ここはあくまでも私とは異なる種族の暮らす城。
しかもその種族は私達人間を喰らう魔物。
そしてその主達も同様に私とは異なる生き物。
改めて呼び起こされた心のシグナルが、この時既に迫り来る危険を察知していたのだ。



けれど結局、手紙で指定された晩までにロイズハルトに会う事は出来なかった。
ロイズハルトの行方をデューンやレイフィールに尋ねる際も、彼らにそれとなく聞いてみたが、やはり何も知らなかったようだ。
逆に不審に思われても、公言するなと釘を刺されている以上、ほんの僅かでも悟られる訳にはいかなかった。
デューンやレイフィールの話によると、ロイズハルトは辺境でのゴタゴタを片付ける為に、最後に会った日以来城を離れているらしい。
戻る日なども聞いてはみたが、元々どうなるか分からない物の後始末だけに未定だ、と言われてしまった。
急に入り込んだ仕事だとは言っていたが、その様な状況の中、わざわざ使者まで寄越して日時まで指定するような約束事を交わそうとするだろうか。

やはり、これは……。

刻一刻と空が闇に染まり始め、時計の針が次第に距離を縮めていった。
私はじっと外を眺めながら、静かに覚悟を決めていた。
あの手紙の差出人がロイズハルトであろうとなかろうと、とりあえずはあの泉へ赴いてみよう。
その先の事はその場で考えれば良い、と。
その時こそ私が白魔法使いである事を思い知らせるいいチャンスだ。

「エルフェリス様、参りますか?」

後ろでじっと控えていたリーディアが遠慮がちに声を掛けてきた。
いつもよりも僅かに鋭いその声に、彼女もやはり平静ではないのだと思い知る。
それでも、無言で振り返った私は、決意を込めた瞳で一回だけ頷いた。

「行こう、リーディア。面倒かけるけどごめんね」
「何を水臭い事を……」

リーディアはそう言うと、いつもの笑顔でホホホと笑う。
ドレスを脱ぎ捨てた彼女は全体的にほっそりとしたシルエットの衣装に身を包んでいた。
動きやすそうだね、と私がちらちら見ていると、リーディアはにっこり微笑んだまま「戦闘服ですわ」とあっさり言い放った。

「せ……戦闘服って」
「あら、私達の間では普段着のような物ですのよ。城から一歩出ればハンターもうろついていますから気も抜けませんしね」
「……ハンターか……」

その言葉と共に脳裏に浮かんだのは、不敵に笑うデストロイ。
あの男はいつも狩りの時は決まって長期に渡りヴァンパイアの領域に篭っていた。
けれど未だにこの居城には辿り着いた事がないとぼやいてもいた。
もし彼がこの城を発見してしまったらどうなるのだろう。
何故か、ロイズハルトの顔が浮かんで消えた。

「ねえリーディア。一つだけ……聞いてもいい?」
「ええ、何なりと」
「あのさ、もしこの城にハンターが紛れ込んだりしたら……どうするの?」

真顔で尋ねた私をじっと見つめて、リーディアはキョトンとしていた。

「つまりさ、ハンターがうろついてるって事は簡単に城にも侵入されるかもしれないでしょ?」

質問の仕方が悪かったのかと思って、再度言い方を変えて聞き直す。
するとリーディアはくすくすと微笑んで、何度か首を横に振った。

「それはまずあり得ませんわ」

そして自信に満ちた表情でそう言ったのだ。

「どうして?」
「この城にはハンター避けの魔法が掛けられていますの。力のあるヴァンプに正式に招待された者以外には、この城すら見えないと言われますわ」
「そうなんだ!? 知らなかった……」
「エルフェリス様もいつか故郷にお戻りになった時は、くれぐれも内密にして下さいませね」
「うん……気をつける」

そんな風に話しながら部屋を出て、しっかりと施錠する。
それから私達は暗い暗い回廊を肩を並べて歩き出した。
背後に迫る黒い影に気付きもせずに。



城内から臨む外の世界はまるで別の様相を醸し出していた。
今立っている薔薇の庭園は暗いとは言っても所々街灯が点いてるし、また咲き乱れる白い花びらのおかげで闇の中にも華やかな雰囲気が漂っている。
けれども城門の外はどうだ。
一面を不気味なまでに木々が覆い、夜目が利かない人間の私にとってはとてつもないほどの暗闇となって目の前に立ちはだかっている。

「参考までにお伝えしておきますわ。ロイズ様は未だ外出からお戻りではないとの事。やはりエルフェリス様の言う通り、あの手紙は罠のようですわ」

城門の鉄扉に手を伸ばすリーディアが、謎の言霊を呟きながらそう言った。
ギギィと重い響きを伴って、ゆっくりゆっくり門扉が開いていく。

「あえて行かないという手もありますのよ?」

リーディアの言葉は警告。
もし仮にロイズハルトの呼び出しであったとしても、後から適当な理由を付けて誤魔化すことなど容易だ。
けれども別の何者かが故意にロイズハルトの名を騙っているのだとしたら、恐らくはまた形を変えて私達と接触を持とうとするだろう。
ならば今ここで、この目で直に確認すれば、自分の中で燻り続ける事もない。

「ううん、行く。“ロイズハルト”の話を聞きに」

私はそう言って密かに忍ばせておいたワンドを取り出すと、それをしっかりと握り締めた。
これがあれば闇を切り裂く白魔法を瞬時に発動出来る上、私にかかる負担もかなり軽減出来る。
つまりは戦闘装備と言うところだ。

「道案内お願い。リーディア」

そう言いながら、うっそうと茂る木々の間へと足を踏み出す。

長い長い夜の始まりだった。





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